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2020年07月06日(月) お知らせ

パコムからのメッセージ【7月】

2020年7月

 

パコムからのメッセージ【7月】

 

今年は春を感じることなく、いきなり雨の季節になったような気がします。

この7月でパコムは25期を終えることとなりました。

4半世紀という節目の年ではありましたが、年明けからのコロナウィルス感染症の影響で、想像をはるかに超える創業以来の苦しい時となりました。

日本、いえ世界のほとんどの企業が営業活動の自粛を強いられ、売上が立たず、苦しい状況になっています。
もちろんそこは公的資金などの補助もありますが、それだけですべての企業が、今回の状況を切り抜けられるわけではありません。

 

先月ようやく東京出張に出向くことになり、新幹線の中で読んだ雑誌が兵庫県の西脇市の特産品、先染め織物について記事を書いておりました。

西脇市というのは日本のど真ん中に位置する市で「日本のへそ」と言われているのはご存知でしょうか?

その西脇市は古くから先染めの産地として知られており、国内の7割のシェアを占めています。

布地には先染めと後染めがあります。
多くの生地は生機という白い生地を反物ごとに染めて色をつけますが、先染めというのは、縦糸に赤糸、横糸に青糸を織ると微妙な色合いが反映して美しい紫のような布に仕上がるのです。
後染めの生地にはない独特の風合いです。
見る方向からも色合いの変化が楽しめるのです。

どちらの染め方にも特徴があるのですが、白い生機を全体的に染める後染めと違い、先染めは糸をしっかり染める必要があり、コスト的には少し高くなってしまいますが、トレンドに左右されないチェックやストライプの布地には最適です。
私たちのクライアントでもある海外のラグジュアリーブランド、アルマーニやダンヒルも西脇の先染め生地を使って製品にしています。

中島みゆきさんのヒット曲「糸」では『縦の糸はあなた、横の糸は私、織りなす布はいつか誰かを温めるかもしれない』って素敵な歌詞でしたね。

縦糸と横糸が同じ力で引っ張り合うから強い布になります。
どちらかが強いと生地は歪んでくるのです。

今回のコロナ禍で、日本の政府は縦糸しかないのかなぁ、と感じました。
横糸が通ってないから、すべてに歪みが表面化し、政策も後手後手になり多くの企業や国民が困窮したのではないでしょうか。

 

そして、今までの日本の人材育成は企業の後染めだったのでしょう。
真っ白な新卒の人を採用して思ったとおりの企業色に染め上げていったわけです。
多様性に富んだ人材を活用するというのが、今の日本の課題であるなら、いろいろな色合いを持った人たちをクロスさせて、先染めの生地のように深みと味わいのある企業を形成していくべきでしょう。
今回のアフターコロナの課題として、いろいろな能力を持った人、違う雇用形態の人、多国籍の人たち、それぞれがうまく融合し、強くてしなやかな日本に変われる良い機会となることを願ってやみません。

 

まだまだ気を許してはいけませんが、適切な判断で私たちの生活を楽しむことを取り戻していきましょう。