NEWS

2020年09月11日(金) パコムレター

パコムからのメッセージ【9月】

2020年9月

 

パコムからのメッセージ【9月】

 

9月1日は防災の日。
今年は、豪雨など自然災害に加え、コロナウィルス感染症という見えない敵に翻弄された日々が続きました。
感染症拡大から人的災害にも近い現象が起きました。

春のお花見、夏の花火、お祭りの賑やかな掛け声も浴衣でそぞろ歩きする人も見かけないまま夏が終わり、季節を感じることもなく暦の上では秋になりました。

いまだに大学の授業はリモートのままだし、私たちの登録対応や面接などもほとんどがオンライン対応になりました。
コロナウィルス感染症の影響によって一時的と思っていたことが、今後スタンダードになり、世の中は大きく変化していきます。

 

大手派遣会社パソナは淡路島に本社を移転するという決断をされました。
もともと淡路島では農業人材育成などの事業を手掛けていたのだから、幹部の人たちにとっては、遠い島ではなかったのでしょう。
京阪神にアクセスが良いとはいえ、鉄道の繋がっていない島に大企業の本社が 移転するというのは、これから働く人の意識を大きく変えることになると思います。

 

自宅でリモートワークのできる職種は、今後ますます変容していくことでしょう。

業務そのものについては支障がないとはいえ、オンラインによって付随する大切なものがそぎ落とされてしまうのではないかと感じています。

神戸大学の服部准教授がオンラインへの移行によって失われるものは「冗長性」(Redundancy)と呼ぶものだと指摘されています。

百貨店に洋服を買いに行ったら、隣のスペースで新発売の香水のポップアップをしていて予定になかったのに買ってしまう、楽器の修理のため店舗に行ったら、新品を見て欲しくなって購入してしまう、など必要最小限のものより余分なものや重複したものを得てしまうことはよくあることです。
これが「冗長性」と言われるものです。

学生の就職活動にしてもオンラインでの企業検索や面接は問題ないでしょうが、就活イベントでたまたま隣のブースをのぞいて、その企業に興味を抱き意識が変わる、という経験ができなくなります。偶発的な出会いは激減することでしょう。
 

オンラインへのシフトにより消失するのは、こうした意味での冗長性です。
 

私たちは、今まで無駄なことをしたり、不要なものを買ったり、回り道をたくさんして生きてきました。
人生に付加された余裕(あそび)の部分を忘れては、面白味に欠けると思うのは私だけでしょうか?
きっと失われた冗長性を取り戻そうとする企業も人も出てくるに違いありません。

コロナ禍で失ったことばかりではなく、学んだことも心に刻んでいきたい秋の始まりです。