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2021年05月07日(金) パコムレター

パコムからのメッセージ【5月】

パコムからのメッセージ【5月】

 

昨年に引き続き、緊急事態宣言真っただ中の5月スタートとなりました。

風薫る新緑の美しい時期に、外出を制限されるのは本当にストレスの溜まる日々です。

自宅に籠ってテレビをつけると、コメンテーターや学者たちのコロナ見解や、右往左往している政府のコメントに辟易とします。
そんな中、唯一楽しみだったのはNHKの連続テレビ小説「おちょやん」で毎朝BSの放送を見てから出勤していました。

ご存知の方も多いとは思いますが、小説のモデルになったのは浪花千栄子(1907/11/19~1973/12/22 66歳没)の人生で、大阪南河内郡の生まれで8歳の時に道頓堀の仕出し屋へ奉公に出され、苦労を重ね、自らの努力で非識字からも脱し、その後女優の道を歩んでゆきます。

関西が舞台ということもあり、明治生まれの私の祖母(名前はなんと千代子です!)の世代だと思うと、とても親近感をもってドラマにはまってしまいました。
 

主人公、竹井千代に扮する杉咲花の演技も素晴らしかったし、関西弁も違和感なく耳に入ってきました。
「おちょやん」というのは名前の千代にもかけてありますが、茶屋や料亭で働く小さい女中さんを表す言葉です。
筋書きは、貧しく苦労した千代が、女中奉公から始まりいろいろな人に関わりながら、素晴らしい女優になっていく軌跡です。
その中でも幸せ絶頂の舞台で一平が「一緒に泣いて一緒に笑ってくれる人」と結婚宣言するところは、こちらまで嬉しくなってしまいました。

また、長年、千代の舞台がある日に花籠を送り続けたのが、憎んでいた継母だったとわかり、心の中に堆積していたわだかまりが熱い涙で氷解していく様も、人間だからこその感情だと痛感しました。
 

そして番組のもう一つの楽しみは、この時代背景として、道頓堀をねり歩くちんどん屋さんの役柄で高校時代の同級生が出演していました。
彼は大学時代からの活動を卒業後も続け、今も現役でちんどん通信社として活躍しています。
簡単なことではないけれど『好き』を仕事として生きてきたなんて、羨ましい限りです。

 

若い人には馴染のない浪花千栄子ですが、オロナイン軟膏のCMになっていたことをご記憶の昭和世代の方もおられるかと思います。
彼女の本名が「南口(なんこう)きくの」=軟膏効くの、であったというのは、クスッと笑えるエピソードです。

 

大阪道頓堀の中で、力強くチャーミングに生きてきた千代ちゃんは、このコロナ禍の私たちにもちょっとした勇気を与えてくれたのではないでしょうか? 
人生のどん底を見たとしても、必ずそれを 原動力にして、たくましく生きていく姿を見習いたいものです。

決して花形女優というわけではなかったかもしれませんが、多くの人に支えられ愛された、そんな  人生に拍手を送りましょう。