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2022年03月08日(火) お知らせ

パコムからのメッセージ【3月】

2022年3月

 

パコムからのメッセージ【3月】

 

寒い日が続いていますが、陽ざしはすでに春を感じています。

豪雪のニュースが多かったこの冬でしたが、私の住んでいる神戸では、2度ほど、白い雪が、綿毛のようにはらはら舞っているのを見ただけで、真っ白な景色にはなりませんでした。

 

さて、先日、友人から嬉しいことがあったと連絡がきました。
その彼女、27年前の阪神大震災の朝、地震発生直後に産気づいて、病院の分娩室が壊滅していたため、ろうそくの灯の中、病室で出産しました。
本来なら嬉しい3人目の誕生だったはずが、実家でお留守番していた長男が震災で亡くなり、次男も重症を負う悲劇が重なりました。
そのことが新聞に取り上げられて、その記事を読んだ方から、励ましの手紙がきたそうです。
新聞には正確な住所は記載されていないのに、よくぞ手元に届いたものです。

日本の郵便屋さんは優秀です。
当時の彼女の心境は、ありがたいと思う気持ちの半面、折れた心で返事を書けずに放置したままだったとか。

それから27年の月日が流れて、つい先日、偶然にもその手紙を発見し、今更だけど、そして同じ住所にいるのかしら?
と思いつつ手紙の返事を書いたそうです。
すると先方からも返事が来て「若気の至りで 相手の気持ちも考えずに手紙を書いたことを悔やんでいた」と。

手紙のお送り主も、彼女と同じ年で、3人の子持ちで同じ境遇だったため、居ても立っても居られなかったのでしょう。
失われた命は戻ってこないけれど、彼女にとって、27年を経て、返事を書いたことによって心温まるつながりができたことは、とても嬉しかった、と。

彼女は、深い悲しみを乗り越えて、その時に生まれてきてくれた娘に感謝している、そう言っていました。

メールアドレスは、1文字でも間違えると絶対に相手には届きませんが、町名だけで本人の元に届いた手紙が、30年近い時を越えて、改めて人と人をつなげるなんて、感慨深いです。

 

そして3月11日、東北の大震災から11年目を迎えます。
多くの犠牲者を出し、忘れてはいけない日。

どんなに研究しても完全に予知することができないのが自然災害です。
また、いつの時代でもウィルスは形を変えながら、私たちの生命を脅かします。
自然災害やウィルスなど抗いがたい要因で、私たちの人生は、太古の昔から翻弄されてきました。

 

唯一、止めることができるのは人間の手によって起こす悲劇的な争いです。

どんな命も誰かにとっては大切な命。人為的に奪われることがないように、願っています。

私たちは、心穏やかに過ごせる日を待ち望んでいます。

 

さぁ、本格的な春を前に、名残雪が降るかもしれません。
雪が解けたら、暖かい春がきますように。