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2022年08月09日(火) お知らせ

パコムからのメッセージ【8月】

2022年8月

パコムからのメッセージ【8月】

 

暑中お見舞い申し上げます。

いったん落ち着いていたコロナウィルスも新たに猛威を振るい、私たちの日常生活をおびやかしていますが、重症化のリスクは軽減されているようなので、冷静に対応してまいりましょう。

 

さて、先日、自宅から歩いて行ける母校の大学で、リカレント教育の一環として一般の方を対象に、社会人教育プログラムが組まれているので受講してきました。

長期に亘るプログラムは、なかなか時間に制約があるため通学できませんが、短期や単発の興味あるテーマを選んで、学生気分を味わっています。

コロナ禍で、対面授業は久しぶりでしたが、今回「死生学」という講座を受講することにしました。
もちろん「死生学」という学問が何だろう、というのも興味深かったけれど、講師名に見覚えがあったからです。
42年前、大学のフランス語の授業を担当してくださったK先生のお名前ではないか?と思ったのですが、なぜフランス語の先生が「死生学」?と不思議に思っておりました。

講座当日、大教室の真ん中あたり座って見ると、やはり当時のK先生でした。

10年前、68歳にして30年間に亘る大学教授の生活に終止符を打ち、外国人のご主人とフランスに移住されました。
が、ご主人が体調を崩し、フランスの町医者は、自然な老化だから、と治療をしませんでした。
そこでイギリスに渡り、新たに医者にかかりますが、「癌かもしれないが、治療をしますか?」と、ご本人に訊かれたようです。
治療を望まなかったご主人は急逝され、K先生は「日本なら、こんなことにならなかったのではないか?」とやるせない思いをされたそうです。
本人の意思は尊重されましたが、家族の思いは通じることがなかったと後悔の念がよぎります。

そこから「死生学」を学問として追求することになり、大学でも一般教養のカリキュラムで半期に亘り講義され、多くの若い学生が聴講にきて驚かれたそうです。若い人も「死」に関心あるのだ、と。

私たちは「死ぬ」=忌み嫌うこととして捉えがちで、なかなか正面から向き合うことができません。

生があれば、必ず死があります。

たった90分の講義なので死生学の入り口だけを覗いた感じですが、日本と欧米の考え方の違いや、自分の意思をきちんと持っておくなど大切なことがあります。老いては子に従え、ではなく、自分がどうしたいのか、発信していかなくては、いけません。
安楽死や臓器移植など、正解や答えのないテーマが山積です。

最後に先生いわく「凜として、死ぬまで生きましょう」と。

講義が終わってから「40年以上前に語学でフランス語を教えて頂きました」とご挨拶できたことが、何より生きていて良かったと感じる時間でした。

今年は初盆で母や親しかった友人を迎えます。
何かお土産話や、あちらからのアドバイスもらえるといいのですが。さぁ、暑い夏、くれぐれも体調管理に気を付けて乗り切っていきましょう。