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2019年09月09日(月) パコムレター

パコムからのメッセージ【9月】

2019年9月
 
パコムからのメッセージ【9月】
 
9月1日は防災の日。皆さまのところでは豪雨や台風による被害はなかったでしょうか?
被災地にはこれ以上の被害が拡大しないことを祈るばかりです。
 
8月の末に弊社創設者でもある父がパコムを立ち上げるまでお世話になりました三喜商事の堀田会長がお亡くなりになりました。
享年95歳。
夏前までは時折、会社にも顔を出しておられましたが、夏になって食欲が減退し、自宅で天寿を全うされました。
現役のままの大往生。
先代の父のことも信頼してくださっておりましたが、私自身もとても可愛がって頂きましたので、  最期のお見送りに参りました。
会長は、悲惨な戦争を体験されて、何もないところからの出発でありながら、輸入ファッション業界をけん引する第一人者として君臨されてこられました。
90歳を過ぎても私との雑談の中で興味のあることがあれば、すぐにメモを取り出し書きとめ、何度も何度もその内容を確認されました。
そんな折にも、私の持ち物や服装など、必ずどこか些細なことを褒めてくださいます。
「ええ色やなぁ」とか「似合うとるねぇ」とか、たとえ素材が良くなくとも上等でなくても万人に通じる褒め言葉を駆使されます。
また、お昼時にご一緒する機会があると、歩きながらもビルの警備員さんに「あんたが風邪ひいたらあかんから、はようビルの中にお入り」などと労います。
警備員さんはビルの侵入者を管理するため外側に立つように指示されているので困った笑顔でお辞儀をされました。
誰にでもそのような気配りと目配りをしながら、世の中の動向をいち早くキャッチしてこられました。
輸入ファッション業界も今はまさに潮目。ひとつの時代が収束した、と感じた夏の終わりでした。

先日、同世代の友人が「最近はモノに対するこだわりが無くなってきたよ。どこそこの●●でないとダメだとか、そんなことはどうでもよくなってきた」と話していました。
「こだわり」の意味として「物事に妥協せずとことん追求する」を意図していますが、私のこだわりは何だっただろうか?と。
やはりこの年齢になってくるとよほどのことがない限り「まぁ、いいか」と強いこだわりは失せています。
若かりし頃は、あれこれこだわりがあって当然ですが、時間を重ねると、自分自身の中でいろいろなことが淘汰されてきます。つまらないこだわりを捨てたら見える景色に変化があるでしょう。
名誉も財も成された95歳の会長が「最後に残るのは思い出だけ」とおっしゃったそうです。
私たちの心の中には、これからも様々な思い出が積み重なっていくことでしょう。
良き思い出だけに満たされて、心晴れないようなことは淘汰されていきますように。
合掌。